元うどん

真面目です。

おもてたんとちがう

高校生の頃だった。その日は兄の友人が来ていた。家に帰った私が台所の冷蔵庫からだした麦茶をコップについでガバガバ飲んでいると、ダイニングテーブルに座って兄を待っていた友人が話しかけてきた。

「妹ちゃんさー、〇〇ちゃんって知ってる?」と聞かれた。

「あー知ってます、同級生です。確か〇〇ちゃんのお兄さんも同級生ですよね。」

共通の知り合いに紹介されたらしく、かわいいよねーと兄の友人は言っていた。彼女は背の高い華奢な子で、キューティクルの揃った黒髪をきれいに切りそろえたかわいい子である。兄が来て、二人は自室に行ったのでこの話はここで終わった。

 

それからしばらくして、また兄の友人が家に来ていた。また麦茶を出してゴベゴベ飲んでいる私に話しかけてきた。

「あのさー〇〇ちゃんと付き合うことになった」

「おお、おめでとうございます〜。」

「……あの子、どんな子?」

「ええ……う〜ん」

この兄の友人は子供の頃からの知り合いなので普通に話していたが、当時の私は異性と話すと緊張して、自分が話しかけたら気持ち悪いのでは?と思っていた。恋バナとか良くわからないどころか体重と食べ物と進路と勉強のことしか考えていない常に死にたい女子高生は恋バナがわからぬ。

「付き合い始めたんだけどさあ、それから急に〇〇ちゃんが、あなたはそんな話し方をしない!とかあなたはもっとこういう感じの人のはず!って言うんだよ…」

「あー……………顔のかっこよさにふさわしい振る舞いをしろとかじゃないですか?」

「いや…ていうかそれは誰なんだよ…」

 

実は〇〇ちゃんとは、小学生の頃に一緒にしていたこっくりさんのときにヒステリー状態になって中々怖いことになったことがあったのだ。でもそんなことを人に言うのもなあ…と思って黙っていた。付き合ったりするならまあある程度は本人が見極めるところであろう。

〇〇ちゃんは近くの席で見ており、こっくりさんの途中から大声で笑いだして大きな音を立てて倒れた。バーン!他の何人かもつられて泣き出した。おお…これが集団ヒステリー…!私はこっくりさんは付随筋による運動で非科学的ですという本を読んでいたので…いたけど…いや…むちゃくちゃ驚いた。オワァー?!とか言った気がする。先生を呼んできたり保健室に連れて行ったり先生に怒られたりして、その日は適当に型がついた。

ふむ、〇〇ちゃんは多分感受性の強い子というやつだな、と私は納得していた。違うかもしれない。

程なくして兄の友人から、お付き合いはやめた…と聞いた。「僕は君の理想にはなれそうにない…別れよう…」と言ったらすんなり解消されたそうだ。

恋とは…?付き合うとは…?

私はまたもや麦茶をグビグビしながらぼんやり聞いていた。そうだな、兄の友人と私の恋とかは別に始まらない。相手は私を謎の珍獣みたいに扱っているし、私も兄の友人は心がフンワリした坊っちゃん(善人)としか思っていない。かっこいい顔の人なのは解る。一緒にゲームとかもせんでもないんだが。別になんとも。恋とは何で起こるんだろうな。不思議だなあと思った。